学部紹介 教育・研究の目的と方針

医学部の使命・教育研究上の目的

医学部は、人類の健康・福祉に寄与できる専門的な知識、技術を身につけ、「科学者」の視点をもちつつ、感性豊かな教養人としての医師・医学者を養成することを目的(=使命)とする。そのために、以下の目標を定める。

  1. 科学的根拠に基づいた医学・医療を行うための体系的な知識と確実な技術を身につける。
  2. 不断前進する医学・医療を生涯にわたってアクティブに自学自習する態度・習慣を身につける。
  3. 常に相手の立場に立って物事を考え、人間として、医師・医学者として他を思いやり、慈しむ心、即ち学是「仁」の心を涵養する。
  4. チーム医療・研究を円滑に遂行できる能力と習慣を身につける。
  5. 国際社会に役立ち、未来を切り開く人間性溢れる豊かな教養を培う。

アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)

求める学生像

医学部では、医学・医療の知識・技能のみならず豊かな感性と教養を持ち、国際社会や地域社会に貢献し、未来を拓く人間性溢れる医師・医学者を養成するため、次のような学生を求めます。

  1. 一人の人間として、人間と自然を愛し、相手の立場に立つ思いやりと高い倫理観を有する人
  2. 幅広い人間性、柔軟性と協調性を備えた基本的なコミュニケーション能力を有する人
  3. 自ら課題を発掘し、知的好奇心を持って、課題解決に取り組む主体性を有する人
  4. 国際的な視点から医学・医療の進歩に貢献しようとする熱意を有する人
  5. 入学後も、自己啓発・自己学習・自己の健康増進を継続する意欲を有する人

大学入学までに身に付けておくべき教科・科目等

医学部では、大学入学までに高等学校等において、次の教科・科目等を身に付けておくことが望まれます。

  1. 理科:物理、化学、生物についての十分な知識と科学的な思考力・探究心
  2. 数学:数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学 A、数学 B についての十分な知識と論理的思考力
  3. 英語:国際社会で活躍するための基礎的なコミュニケーション能力、十分な読解力、表現力、思考力、会話能力、言語や文化についての理解、TOEFL-iBT 68 点程度/IELTS 6.0 程度、もしくは同等水準の英語能力
  4. 国語:十分な文章読解力、文章構成力、論理的表現力
  5. 地理歴史・公民:世界史 B、日本史 B、地理 B、現代社会、倫理、政治・経済についての基礎的な知識
  6. 特別活動及び課外活動等を通じた主体性、協調性、思いやり、奉仕の心

入学者選抜の基本方針

医学部では、医師・医学者になろうと努力する学生に対し、6年間で卒業し、ストレートで医師国家試験に合格させるよう教育しますが、単に医師国家試験合格だけを目指すのではなく、国家試験をものともしない、知性と教養と感性溢れる医師・医学者を養成するため、入学者選抜方法として、学力試験のみならず、受験生の感性や医師・医学者となるべき人物・識見・教養を見極めるために、小論文試験・面接試験を課し、また、小中高に至る活動を知る資料の提出により、総合的な判定に基づき、入学者を選抜します。

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

順天堂大学医学部の使命の下で、卒前卒後の継ぎ目のない教育を目指し、順天堂大学医学部のコンピテンシーを身に付け、ディプロマ・ポリシーに示す資質・能力を修得するため、以下のとおり教育課程を編成・実施します。また、学修成果を適切に評価し、教育方法の改善を行います。

  1. 常に相手の立場に立って物事を考え、人間として、医療人として他を思いやり、慈しむ心、即ち学是「仁」の心を涵養するため、1年生全員を学生寮に約1年間入寮させ、集団の中での個の確立と、学是「仁」の涵養を寮生として実践実習します。
  2. 科学的根拠に基づいた医学・医療・研究を行うための体系的な知識、確実な技術・技能、適正な態度を身に付けるため、1年次には自然科学と英語を中心とした基礎教育及び医療入門を提供します。また、特定の課題を少人数による議論と思考で進めるPBL(Problem Based Learning)を行い、全学生のモチベーション及び課題探求力・分析的評価能力を向上させる場を提供します。1年次後半以降の専門科目においては、生命科学、基礎医学、臨床医学を関連づけ、体系的に学び、医学への探求心を養うため、臓器別・病態別の水平的・垂直的統合型カリキュラムを採用します。
  3. 3年次には、科学的思考能力を高め、医学における研究の重要性を理解し、生涯にわたってアクティブに自学自習する態度・習慣を涵養する小グループ制の基礎ゼミナールを設定します。将来、研究者を目指す者に対しては、研究医を養成するコースを設けます。
  4. 入学後の早い時期から病院見学、看護実習、施設実習、医療体験実習、診察技法実習、基本手技実習、救急医学実習等の体験実習を行います。医療職の一員として医療の現場に参画することにより、保健医療制度を理解し、多様な職種の専門家との連携や共同作業を行えるコミュニケーション能力の涵養を目指します。特に、4年次後半からの本格的な臨床実習では、それぞれ特徴的な機能を持つ医学部附属6病院で患者を受け持ち、実際に医療チームに加わることにより、臨床能力を身に付ける教育を行います。
  5. 教養教育を重視するとともに、国際社会で活躍できる能力を養うため、実践英語を高学年まで課します。5、6年次の臨床実習では、海外での実習機会(2~8週間、留学先は自ら選べる)を提供し、国際的視野を獲得する場を提供します。

学修成果は、授業科目の修得状況による客観的評価、コンピテンシーの項目群を学生が参照し、定期的に自己のパフォーマンスを評価する主観的評価によって、包括的に評価します。各科目のコンピテンシー達成レベルはシラバス等に明示します。
学生によるコンピテンシーに基づくカリキュラム評価結果を活用し、カリキュラムの自己点検・評価を行います。内部質保証の維持、向上のため、第三者の視点を踏まえ、カリキュラムの自己点検・評価を定期的に行い、教育方法の改善につなげていきます。

ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)

医学部では、順天堂大学医学部の使命の下で策定された各年次のカリキュラムを履修し、かつ定められた基準に合格することによって、順天堂大学医学部のコンピテンシーを身に付け、次の資質・能力を修得した者に対して学士(医学)の学位を授与します。

Ⅰ.診療技能・患者ケア,医学的知識

科学的根拠に基づいた医療・医学研究を行うための基礎、臨床の医学的知識を有し、体系的に理解し説明できる。それを応用し、基本的な診察・手技を適切に実践できる。

Ⅱ.医療安全

医療安全の重要性を理解し、適切に実践できる。感染予防対策の適切な方法・プロセス、問題を起こしやすい状況とその対応を理解し実践できる。

Ⅲ.チーム医療,コミュニケーション

チーム医療や患者の抱える問題を理解し、医療チームの一員として適切に多職種と連携することができる。
他者と信頼関係を構築することができ、良好なコミュニケーションがとれる。

Ⅳ.医療の社会性

行動科学、社会医学、地域医療のシステム、プライマリ・ケアを理解したうえで、患者・国民のニーズを認識し、必要な医療と医療制度を概説できる。

Ⅴ.倫理とプロフェッショナリズム

医の倫理・生命倫理、患者の権利・立場と心理を理解し、高い倫理観・適正な態度を身につけている。倫理・法律に反しない行動ができ、医療人・研究者としての責任感をもって行動できる。

Ⅵ.自律的学習能力,順天堂大学医学部で学んだ者としての誇りと責任

順天堂大学で学んだ者として、生涯にわたってアクティブに自分の目標に向けた学習をする不断前進の態度・習慣を身につけ、医の歴史や健康に与える運動の影響を理解し、他を思いやり慈しむ心(学是「仁」)を持った行動ができる。
グローバル化する国際社会において医学・医療の分野で国際的に活躍できる語学力、医療能力、未来を切り開く人間性溢れる豊かな教養を有している。